(今の状況)佳境か!!

金利の上昇が止まらない。

もちろん、世界的なインフレ下での財政拡張により、世界中でインフレ鎮静化に失敗しているという原因が一番大きいが、どこまでも、上がれるものではない。

実はよく似た現象は2018年にあり、米10年債は10月4日に3.24%でピークを付け、11月8日にダブルトップを付けた。

S&Pは米10年債がピークを付けた後、下落するのだが、本格的に金利が下落できるのは年が明けてからになった。

何が起こっていたのかと言うと、12月末(米銀決算)に金利リスク新規性 IRRBBが開始されるため、12月末に向けて金利リスクをコントロールする必要があったが、金利が上昇すると、米銀の保有するモーゲージのネガティブコンベクシティにより金利リスクが増えてしまうので、売りが売りを呼ぶ展開が、11月初旬まで続いたわけである。

仕掛け勢は、年末にかけて金利を上昇させれば、銀行の投げが出ることが解っているので、売り崩して、サンクスギビングまでに利確したというのが事の真相。

今年はどうかと言うと、これまでは、どれだけ評価損を抱えても特に規制が無かった HTM債券(満期保有目的) の評価損について、何らかの規制対象(最悪の場合には自己資本控除か?)にするという動きが出ており、銀行が決算までに評価損の整理に入っていると考えるのが自然である。

米銀のHTM債券は 6月時点で2.5兆ドル(360兆円)で、評価損は 3千億ドル(43兆円程度)規模。自己資本の15%近くの評価損だが、評価損が自己資本の40%を超えている銀行も一部あるため、相当規模の投げ売りが確実視されるため、ヘッジファンドも売り崩しに余念がない。

金利の低下には株の下落が必須なので、年末までに米金利が2%を切るのは難しくなったが、流れには変化ないと見ている。

図は、上が2018年のUS10YとSPX。下が今。